![天然紙 クラウド ファンディング](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/973e264f602c011113ea5b7a642bd0db.jpg)
今年もクラウドファンディングでご支援頂き、無事、天然紙を漉くことができました。
誠にありがとうございました。
天然紙2019の制作期間中にSNSにて報告していた写真などを再編集し、ご報告させて頂きます。
杉葉集め
長田家の山の敷地は大滝町の神社奥と大滝ダムの奥などにある。
杉葉(すんば)は原料に使うわけではないのですが、楮を煮る際に使う灰汁を取り出すときに使う。
取りに行く時期が遅かったのか、ほとんどの葉が茶色くなっていて、青い杉葉を集めるのが大変。
なんとか足りる量を集めて工場に戻る。
![](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-100-1024x682.jpg)
神社奥の長田家の山の敷地
![](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-110-1024x682.jpg)
ダムの奥の長田家の山の敷地、丸八マークが目印(屋号が八太夫だから)
![](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-120-1024x682.jpg)
集めてきたすんば
お隣さんからもらった揉み殻
これもすんばと一緒で、きれいな灰汁を濾すのに使う。
![揉み殻](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-330.jpg)
揉み殻もきれいに洗う
木灰
![ご近所の方に頂いた木灰](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-250.jpg)
ご近所の方に頂いた木灰
長野県産のトロロアオイ
長野県から仕入れているトロロアオイの根っこ。
この根っこから紙漉きに必要な粘液(ネリ)を抽出する。
この根っこを洗って、叩いて、一晩くらい水につけておくと、どろっとした強い粘り気を持つ粘液がでてくる。
![](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-200-1024x682.jpg)
長野県から送られてきた、そのままのトロロアオイの根っこ
![長野県産生ネリ](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-230-1024x682.jpg)
水につけているトロロアオイ
![トロロアオイから抽出したネリ](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-260-1024x682.jpg)
ネリには根っこの破片などが混ざるので、濾してごみのないネリを取り出す
無選別那須楮
なかなか入手できない那須楮は特別に分けて頂いたもの。
![無選別那須楮](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-210-1024x682.jpg)
楮も煮る前に水に浸しておく
灰汁を抽出する
ご近所さんに頂いた木灰から、濃い濃度の灰汁を抽出する。
灰汁で楮を煮るので、灰汁を取り出すときには灰が混ざらないように気を付ける。
一度、布で濾したら楽だろうと思ってやってみたが、
灰汁が出てくるのに時間がかかりすぎる。
すんば+揉み殻は隙間が多いからか、ざばざば濾せる。
昔の人の知恵はすごい…!
揉み殻を引き詰めて、すんばを入れて、灰を入れて、水をそそぐと・・・
![灰汁が濾されて最下層まで沈んでいく](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-300-1024x682.jpg)
灰汁が濾されて最下層まで沈んでいく
そうすると灰汁がでてくる。
![](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-310.jpg)
ちゃんと強アルカリ性。
濃度が高い灰汁じゃないと、楮がやわらかく煮えない。
![](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-320.jpg)
楮を煮る
強アルカリの灰汁で煮て、楮が柔らかくなるまで、灰汁を足したりして調整する。
時間がどれくらいかかるかが、まだ読めない。
試験紙ではアルカリの濃度が強くても、うまくやわらかくならないことも多い。
煮過ぎると、繊維の風合いと艶がなくなるので、難しい。
一方、いつも使っている苛性ソーダやソーダ灰なら、2~3時間で煮えてしまう。
![](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-400-1024x682.jpg)
![](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-410.jpg)
![](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-420.jpg)
![楮を煮る](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-430.jpg)
楮のちりより
ちりとりとか、ごみとりとか、いろいろ呼び方がある。
うちではちりよりと呼んでいる。
楮の節の部分などのかたい部分や、黒い部分などを手作業でとっていく。
他の一部植物の原料では、この工程は機械化が進んでいるが、
楮は繊維が丈夫であるため、機械が壊れてしまう。
現状では、どこの工場でもすべて手作業で行っている。
弊社は柄入りの紙を多く漉く工場なので、ちりよりにそこまで力は入れていないが、
画家や版画家のための和紙を漉いているところは、ちりよりを何日もかけて行う。
![楮のちりより](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-500-1024x682.jpg)
楮の繊維からかたい部分や黒っぽい部分を取り除く
![楮のちりより](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-510-1024x682.jpg)
取り除かれた楮
![楮のちりより](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-520-1024x682.jpg)
目をよく使うので、しばしば眼精疲労におちいる
![楮のちりより](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-530-1024x682.jpg)
ちりより後の楮
楮の叩解
ちりよりが終わったら、楮を木の棒でたたく。
普段はなぎなたビーターという機械で繊維を細かくしているが、
木の棒でたたく方がより繊維が細かくなる。
![楮の叩解](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-610-1024x682.jpg)
楮を木の棒でたたく
![](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-600-1024x682.jpg)
木の棒が板に当たるときに、わずかに棒を手前に引いて、すりつぶすようにたたく
布を洗う
紙を漉いて、生の濡れている紙を重ねて積み上げるときに、
紙と紙の間に布を重ねる。
この布を煮沸した水で煮て、水にさらして洗う。
![](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-AN9A8873-1024x682.jpg)
![](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-AN9A8874-1024x682.jpg)
漉く
山水とネリと楮の繊維を混ぜ合わせて、簾桁の上に流していく。
水の流れで繊維の大きなうねりができ、それが雲肌と呼ばれる模様になる。
![楮の叩解後](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-630-1024x682.jpg)
たたいた後に、水であらった楮
![長田製紙所工場内の山水](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-700-1024x682.jpg)
水は山水をくみ上げて使っている。越前の水は超軟水。
![水と楮とネリを混ぜたもの](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-710-1024x682.jpg)
水と楮とネリを混ぜたもの
![簾の上に原料を流す](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-720-1024x682.jpg)
簾の上に原料を流す
![天然紙を漉いているところ](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-730-1024x682.jpg)
水が落ちるとこんな感じ
脱水
積み重ねた紙と布をプレス機で押す。
半日程、脱水して、板張りへ。
板張り
脱水した後に、紙を布と一緒にはがして、
半なまの紙が破れないように銀杏板に張る。
張ったら、布だけをはがして乾燥室に入れる。
板張りにすることで、光沢が増す。
![銀杏板が重いので、二人がかりで張る](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-790-1024x682.jpg)
銀杏板が重いので、二人がかりで張る
![張るのも職人技](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-791-1024x682.jpg)
張るのも職人技
![乾く前にすでに雲肌の光沢が出ている](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/56897067_2323712841198898_4825705677601112064_n-1024x768.jpg)
乾く前にすでに雲肌の光沢が出ている
乾いたら完成
板からはがして、検品し、完成。
![天然紙2019、楮とは思えないほどの光沢](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-AN9A9653-1024x682.jpg)
天然紙2019、楮とは思えないほどの光沢。
A4天然紙、天然紙はがき
A4天然紙は今回初めて制作。
A4とはがきは板張りはしていないので、少しふわっとした仕上がり。
それでも光沢がある。
今まで天然紙をプリンターなどに通したことはないが、
実験したら、インクジェットもレーザーもきれいに印刷できた。
![A4の型](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-s-750-1024x682.jpg)
A4の型を作ってもらった。
![原料が漏れないようにおもりを乗せる](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-740-1024x682.jpg)
原料が漏れないようにおもりを乗せる
![](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-780-1024x682.jpg)
![](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-s-760-1024x682.jpg)
![](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-s-770-1024x682.jpg)
![A4天然紙](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-800-1024x682.jpg)
A4天然紙
![](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-830-1024x682.jpg)
![A4天然紙、右下は両面印刷、ほのかに透けます](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-820-1024x682.jpg)
A4天然紙、右下は両面印刷、ほのかに透ける
![天然紙の光沢](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-810-1024x682.jpg)
まっすぐ正面から見ると、光沢はわかりずらいが、角度をつけてみると、光沢がよくわかる。
![天然紙2019はがき](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/AN9A9644-1024x682.jpg)
天然紙はがき
![天然紙2019はがき](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/AN9A9646-1024x682.jpg)
はがきの方は、光沢はほとんどないが、味がある。
天然紙揉み紙でつくった名刺入れ、札入れ
天然紙を揉み紙にして、和紙小物を作った。
揉み紙とは、膠(にかわ)を塗って、揉みこんだ紙のこと。
弊社でいつも作っている製品より、かなり丈夫な質感になった。
![天然紙に膠を塗って揉みこんだところ](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-AN9A9636-1024x682.jpg)
天然紙に膠を塗って揉みこむとこんな感じ
![膠を塗って揉みこんだら、しばらく置いて癖付けする。](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/s-AN9A9633-1024x682.jpg)
膠を塗って揉みこんだら、しばらく置いて癖付けする。
![天然紙揉み紙の名刺入れ](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/AN9A9647-1024x682.jpg)
天然紙揉み紙の名刺入れ
![天然紙揉み紙の札入れ](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/AN9A9649-1024x682.jpg)
天然紙揉み紙の札入れ
![天然紙揉み紙名刺入れ](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/AN9A9650-1024x682.jpg)
天然紙揉み紙名刺入れ
![天然紙札入れ](https://osada-washi.jp/blog/wp-content/uploads/2019/04/AN9A9652-1024x682.jpg)
天然紙揉み紙札入れ
さいごに
天然紙のプロジェクトについて、たくさんの応援ありがとうございました。
来年もクラウドファンディングをするかはわかりませんが、同じ時期に天然紙を漉く予定です。
2019年の今後の予定としましては、以下が決定しています。機会がありましたら、ぜひともお越しください。
5月の3日、4日、5日 紙と神の祭り 大掘り出し市
8月31日、9月1日 越前市千年未来工芸祭
その他イベントは随時ホームページでお知らせしていきます。
工場見学や和紙ショップについても、どうぞお問い合わせください。
今年度もよろしくお願いします。
※2020年11月22日追記
天然紙は襖判1枚8,000円(税抜)から販売しております。
お気軽にお問い合わせください。
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